富山地方裁判所 昭和42年(ヨ)25号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕被申請人は、仮に本件解雇が懲戒処分たる解雇としては無効だとしても、通常解雇としての効力を有する旨主張するが、そもそも懲戒処分としての解雇は労働関係の消滅という法律上の効果の他に、退職金受給資格喪失という効果や、いわゆる経歴が汚れるという事実上重大な不利益を伴う等、通常解雇とはその内容、効果および手続において著しくその性質を異にするばかりでなく、実際上からみても、もしそのような転換解釈を許すならば懲戒解雇の濫用を誘発するおそれが多分にあるから、被申請人のいうような転換(解釈)を許されるべきでないと解されるばかりでなく申請人の行為が被申請人主張のとおり就業規則一一条五号(三号)の通常解雇事由に該当するかどうかについて考えてみても、同規則一一条五号の「その他前各号に準ずるやむを得ない事由がある時」という規定が同条三号(懲戒解雇)に準ずるやむを得ない事由があるとして適用される場合とは、社員に懲戒解雇に値する行為に劣らないと認められる程度の行為のあるときに、あえて懲戒解雇の手段をとらず、通常解雇の方法で解雇するに止める場合をいうものと解するのが相当であつて、そうだとすると、前記認定の事実関係のもとにおいて、申請人に右の程度の行為があつたものとなすことはとうていできないので、本件解雇が仮に被申請人主張のような通常解雇だとしても、就業規則所定の事由を欠く無効なものというべきである。(岡村利男 伊藤邦晴 庵前重和)